消費者にはあまり知られていないが、デニムの特徴的な色であるインディゴを作るには、ホルムアルデヒドやシアン化合物などの合成化学物質が必要となる。これは労働者に有害となり得るもので、地域の水源を汚染する可能性もある。ジーンズが世界で最も普及している衣類の1つであることを考えると、非常に大きな環境問題だ。
ヒューエ(Huue)の最高科学責任者(CSO)であるタミー・スーは、自然界で色がどのように作られるのかを同僚たちと共同で研究し、自分たちが望む色合いを酵素によって作り出すよう微生物をプログラムした。その結果、有害なプロセスや化学物質に依存しない、持続可能な染色方法が実現した。
これからの課題となるのは、この天然染料をファッション業界が依存している合成染料と同じように安く利用できるようにすることである。「化学業界は100年かけて製造プロセスを磨き上げ、コスト効率を高めてきました」とスーCSOは言う。「私たちが企業を創業したのは2年前です。私たちは合成染料に追いつきたいと考えています。製造プロセスの価格を下げることが、最大の目標の1つです」。
ヒューエは自社のインディゴ染料の販売を2022年に開始する予定だ。スーCSOの次の課題は、微生物にさまざまな染料を作らせる方法を考え出すことである。「私たちはファッション業界に別の選択肢を提供したいと思っています」とスーCSOは語る。
(Tanya Basu)
- 人気の記事ランキング
- Why it’s so hard for China’s chip industry to become self-sufficient 中国テック事情:チップ国産化推進で、打倒「味の素」の動き
- How thermal batteries are heating up energy storage レンガにエネルギーを蓄える「熱電池」に熱視線が注がれる理由
- This US startup makes a crucial chip material and is taking on a Japanese giant 知られざる半導体材料の巨人 「味の素」の牙城を狙う 米スタートアップの勝算
- Researchers taught robots to run. Now they’re teaching them to walk 走るから歩くへ、強化学習AIで地道に進化する人型ロボット