KADOKAWA Technology Review
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開拓者
Lan Truong
35歳未満のイノベーター35人 2021開拓者
核融合、コンピューティング、バイオセンサー、ロボット工学などの分野で重要な進歩に取り組んでいる。

Anna Goldie アナ・ゴールディ (34)

所属: グーグル・ブレイン(Google Brain)/ スタンフォード大学(Stanford University)

機械学習の一分野である強化学習を使って、マイクロチップ内の部品の配置を、人間よりはるかに短い時間で設計するAIを開発した。

アナ・ゴールディは、強化学習を利用してコンピューター・チップを設計している。強化学習は、人工ニューラルネットワーク上で繰り返しソリューションを生成し、その後ネットワークにフィードバックを与えることで、よい結果につながった回路を「強化」し、そうならなかった回路を弱める仕組みの人工知能(AI)技術だ。

機械学習の一分野である強化学習は、チェスや碁などのゲームのしかたをコンピューターに教える方法としても非常にすぐれている。ゴールディの研究チームは強化学習を用いて、チップの設計プロセスの高速化を実現した。

現代のチップは数百万から、場合によっては数十億の要素で構成される。演算を担う部品もあれば、データを短期メモリーに保存する部品もある。すべての構成要素をひとつのチップに収める最良の方法を決定するのに、エンジニアチームは数週間から数カ月かかっている。電力消費と専有面積を最小化しつつ、パフォーマンスを最大化し、それでいて構成要素間のトラフィックが混雑しすぎないように設計しなければならない。

ゴールディのAIは、6時間とかからずに、エンジニアたちが開発したチップに匹敵する、時にはそれを上回るソリューションを弾き出す。

2021年の初め、ゴールディはグーグルのエンジニアチームと協力し、グーグルの最新AIチップ向けにAIが部品配置を設計したチップの実物を製作した。AIを使ってより優れたハードウェアをより短時間でデザインすることで、AIの発展基盤が形成され、ハードウェア設計のさらなる改善と高速化が促される。このようなハードウェアとAIの共生的フィードバック・ループを創出することが、ゴールディの狙いだ。

「生まれたのはとても奇妙な、エイリアンのような配置でした」と、ゴールディは言う。「チップ設計者たちは本当にうまくいくのか半信半疑でしたが、何の問題もありませんでした」。

(Will Douglas Heaven)

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