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Lan Truong
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Sriram Chandrasekaran スリラム・チャンドラセカラン (34)

所属: ミシガン大学(University of Michigan)

薬剤耐性結核の治療を支援するために、既存の抗生物質の効き目を高める薬剤の組み合わせを予測するAIシステムを開発している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前、世界でもっとも危険な感染症は結核であり、毎年150万人以上が亡くなっていた。ミシガン大学のスリラム・チャンドラセカラン助教授は結核患者の治療を支援するために、治療法として有効な薬剤の組み合わせを特定する人工知能(AI)ツールを開発している。チャンドラセカラン助教授の目標は、結核患者を苦しめる薬剤耐性菌と闘うために、既存の抗生物質の効果を高めることだ。

薬剤耐性菌への感染は、治療を途中で止めてしまったり、誤った治療を受けたりしたことで起こる。薬剤耐性菌に感染した患者との接触によって感染することもある。典型的な結核の治療期間は6〜9カ月だが、薬剤耐性菌に感染した場合、18〜24カ月にわたる治療が必要となる。チャンドラセカラン助教授は、この期間を大幅に短縮したいと考えている。短期間で患者を治療できれば、数千ドルの医療費の削減にもつながる。

チャンドラセカラン助教授のAIシステムは、複数の薬剤の組み合わせによる結核治療の効果を予測する。「すでに意外な組み合わせが見つかっています」と、同助教授は言う。例えば、ある向精神薬は既存の抗生物質の効果を増幅する可能性が示された。チャンドラセカラン助教授のチームは、この予測に基づいて、実験室で結核菌に対する効果を実証した。

実験環境で有効だった薬剤が人体でも有効だとは限らない。チャンドラセカラン助教授はこのことを念頭に、アルゴリズムの開発にあたった。開発したAIシステムのひとつは、感染箇所の特徴のシミュレーションをする。例えば、どれだけ酸素を取り入れるか、特定のアミノ酸が存在するかといった特性は、薬剤の有効性に影響を与え得る。チャンドラセカラン助教授の研究室は現在、薬剤耐性結核の治療を目的とした臨床試験を視野に、有望な薬剤の組み合わせの特定に取り組んでいる。

(Emily Mullin)

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