シュレイヤ・デイヴは、自身の博士課程の研究には実用的な応用はないと思っていた。デイヴは、酸化グラフェンでできた分子濾過膜を研究していた。酸化グラフェンの分子濾過膜は、現在使われているポリマーやセラミックに比べて安価で、劣化しにくい。だが、彼女の手法は水道産業で使うには高価すぎた。
ところが、ネイチャーに掲載された論文は、自身の技法が食品や飲料、医薬品、燃料に使われる化学物質を分離する工業プロセスで、大量のエネルギーを節約するのに使えることを確信させた。こうした工業プロセスで使われるエネルギーは、全米のエネルギー消費量の12%を占めている。
デイヴは現在、ヴィア・セパレーション(Via Separations)の最高経営責任者(CEO)を務めている。デイヴらが考案したテクノロジーは、今日、化学物質を分離するのに使われているシステム、簡単にいえば沸騰させて煮詰める方法の代わりになることを目指している。デイヴは、自社の濾過材が広範囲に採用されれば、従来の工業プロセスで使われるエネルギーの50〜90%程度を削減できると考えている。
ヴィア・セパレーションは現在、食品と飲料業界にフォーカスしている。もしこのテクノロジーが1つの産業でスケーラブルかつコスト効率が高いことを証明できれば、他の産業でも成功する鍵になるはずだ。
(ダン・ソロモン)
- 人気の記事ランキング
-
- Data from drones in Ukraine is fueling a new Wild West marketplace 戦場映像がAI訓練に、ウクライナ戦争が生んだ「新たな金脈」
- Promotion AI White Paper 2026 松尾・岩澤研協力『AI白書2026』発売、サブスク版も開始
- Batteries just broke another record in the US 米国のバッテリー導入が過去最高、データセンターも需要けん引
- Bill Gates says we’ve passed AI’s danger thresholds. Now what? 「人類はもう境界線越えた」 ビル・ゲイツがいま AIに警鐘を鳴らす理由
- This founder is teaching chips how to recycle (their energy) 捨てていた熱をリサイクル、31歳が挑むチップの再設計
| タグ | |
|---|---|
| クレジット | Photograph by Simon Simard |
| 著者 | MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] |
