コレラは毎年、世界中の最貧コミュニティの何百万人もの人々を襲っている。コレラの治療には抗生物質が使われることが多い。しかし、抗生物質は腸内のバクテリアに有害であり、抗生物質耐性が増加しているため、理想的な治療方法とは言えない。
ミンミン・イェンは、抗生物質よりも良い解決策を開発した。それはバクテリオファージ、つまり特にバクテリアを標的とするウイルスを使う方法である。イェンの治療介入法が画期的なのは、バクテリアを死滅させる効果が直ちに発揮され、コレラの発症を食い止められることだ。既存のワクチンは対照的に、効果を発揮するまでに何週間もかかることがある。
イェンは、マサチューセッツ州にあるタフツ大学で分子微生物学の博士号を取得した。イェンによると、バクテリオファージに関する研究がほとんど進んでいないのは、抗生物質の普及率が非常に高いからだという。しかし彼女は、抗生物質に耐性を持つバクテリアが非常に増えている今こそ、バクテリオファージが一層大きな役割を担うべきだと考えている。イェンは自分の治療介入法を市場に提供するために、ファージプロ(PhagePro)という会社を起業した。
(エリカ・ベラス)
- 人気の記事ランキング
-
- China wants to restore the sea with high-tech marine ranches 海に浮かぶ巨大施設、 中国が進める スマート海洋牧場の野望
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
- Trajectory of U35 Innovators: Masaki Nakada 仲田真輝:人工生命起業家が「魚の養殖」にピボットした理由
- Why EVs are (mostly) set for solid growth this year バブル崩壊も騒がれたEV市場、2025年はどうなる?
- IU35 Japan Summit 2024: Hiroshi Ito 「深層予測学習でロボットとAIのギャップを埋める」伊藤 洋
タグ | |
---|---|
クレジット | Photograph by Simon Simard Styling by Laura Dillon |
著者 | MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] |