KADOKAWA Technology Review
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博愛家
35歳未満のイノベーター35人 2016博愛家
従来にはない手法によって実現しようとしているのは、健康的で、衛生的な、過ごしやすい世界です。

Sonia Vallabh ソニア・バラブ (32)

ブロード研究所

致命的な病気と診断されて、ソニア・バラブは治療法を追い求める科学者になった。

5年前、ソニア・バラブはハーバード大学法科大学院を卒業して、小さなコンサルティング会社で働いていた。しかし衝撃的な病気の診断が、彼女の進む道を完全に変えてしまった。自分が持っている遺伝子変異が脳の病気を引き起こし、やがて死に至ることが発覚したのだ。現在、ソニアは夫とともにマサチューセッツ工科大学(MIT)のブロード研究所で働いていて、治療の可能性を示す研究を発表済みだ。2月に開催されたオバマ大統領との適確医療のイベントで、次のように話した。

「話の核心は、私のゲノムにあるたったひとつのミスです

私たちのDNAには無数のミスが必ずありますが、たいてい健康には影響ありません。しかし私のミスは、普通とは違って決定的でした。ある遺伝子上のたったひとつの変異が致命的なプリオン病を引き起こします。患者は、50年は健康に生きられますが、そのあと突然深刻な認知症になり、1年以内に死にます。治療法は、少なくとも今のところはありません。

2010年に、この病気が発症する様子をこの目で見ました。夫のエリック・ミニケルとちょうど結婚したばかりでした。私の母は51歳の時は健康で、私たちの美しい結婚式をたった1人で企画してくれました。そのあと突然、私たちの目の前で衰弱していきました。病名はまだ知りませんでした。死体解剖のあとではじめて、私が50%の確率で母を殺した遺伝子変異を受け継いでいることがわかったのです。

すぐに決断して、検査を受けました。直面している困難について知りたかったのです。天国と地獄の間で思い悩んだ数カ月の末、遺伝学者は最も恐れていたことを宣告しました。

『お母様と同じ遺伝子変異があなたにも見つかりました』

「厳しい現実を知ることで、手ごわい病気に立ち向かう、いいスタートが切れました」

厳しい現実を知ることで、手ごわい病気に立ち向かう、いいスタートが切れました。私たちは学ぶために奮闘しました。夜間学校に通い、学会に参加し、ようやく研究の仕事にありつけました。昼は科学者として再教育を受け、夜は学んだことを生かして病気の理解に努めました。4年後の現在、自分の病気の治療法の開発に人生を捧げています。

今後の展望は不確かです。どんなに熱心に研究しても、自分が必要な時に治療法がある保証はありません。できることは何でもするつもりです。あらゆる分野の創造的な仲間と協力して、解決策を見つけ出し、自分やその他多くの患者の命を救うために治療法を開発したいです」

(アントニオ・レガラード)

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